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友情。

キンコ~ン、カンコ~ン・・・・・
ガラガラ~と教室の引き戸が開く。

3時間目の期末テストの担当の先生は「山岡」。
だいたいテストの時にはどの先生がくるか分らないけど、
よりによって「山岡?」とクラス中が思いました・・・・・。

この「山岡」と言う先生は元炭鉱マンで工業高校の機械化の
先生になった変り種、主に”仕上げ”というのを教えていました。

あたくし、けっこう不器用なのでボルトの穴を開ける作業で
皆は真っ直ぐに開けるのですが、どう言う訳かあたくしの場合は
斜めに穴が開いてしまい、すると山岡に「どら、見せてみろ。
何だこれ!オレが今まで教えてきた中で初めてこんなの見たぞ!」

と言いながら、そのボルトを持った手で「ガツン!」とゲンコツを
張られてしまい、追い討ちのように「しかし、なんだな、ある意味
こんなの作る方が難しいだろ。」と妙に感心されました。(なら、ほめろよ!)

次に柄の長いハンマーでいらなくなった”鋳物(いもの)”を
数人と中庭で調子にのって壊していると、いつのまにか誰が一発で壊せるかとか、
早く壊せるのは誰だとなり、負けず嫌いなあたくしは渾身(こんしん)の力で
振り下ろした”ハンマー”が急に軽くなり、「あれ?」と先を見ると先端のハンマーが
転がっており、あたくしは”柄”だけを持っておりました。

今まで近くに居なかったはずの「山岡」が、突然ムササビのごとく目の前に
現れて「バカヤロー!」と言ったかと思うと「ガツン!」と。
あたくし「あー!痛ッ痒い!」と大きな声で言ってやったら、さらに力のこもった
ゲンコツがピンポイントで同じ所に落ちてきました。。。。。

だからけっこう苦手な先生でした。

教室へ入るなり、山岡はすぐに異変に気付きました。
視界が60%くらいの教室、そして明らかにニコチン臭。
山岡はまるで霊能者のように教室中を舐めまわす様に見渡すと
同時に「スッスッ」と臭いを嗅いで、そして教室の天井で目が止まり。

「よ~し、お前らそこ動くなよ。いいか!オレが戻るまで一歩たりとも
その場所を動くなよ!」と言いながら、山岡は職員室へ戻りタバコ検査の
「リトマス紙」を取りに戻りました。

この「リトマス紙」は付箋のような紙をぺロッと舐めて、それをスポイドで
何かの液を垂らし、色が変色すると『黒』です。

本当に一歩も動かない”バカ”はいません。各自ストーブにタバコを入れたり、
窓から捨てたりと・・・・・。

あっ、ちなみ多少の煙や臭いなら100歩譲って多めに見てもらえますが、
その日の煙は尋常ではなく、決定打は天井にタバコの”フィルター”が
何個もくっつけていたからです。(当時、吸い終わったタバコのフィルターにツバを
付けて”ヒョイ!”と天井に投げると付くのが面白くて。まぁ、証拠は十分過ぎるほどです)

「山岡」が戻り、一人ずつ前に出て「リトマス紙」を舐めりまた席へ戻ります。
あたくしは中学で辞めたので当然自信満々でしたが、「山岡」が『黒』の人間の
名前を呼び始めましたが、余裕でした。

何番目かに「加藤!」
「えっ!?なんでよ・・・・・?」これはあたくしが言ったのではなく、クラスの
人間が言いました。皆もあたくしが吸ってないのを知っていたので、「まさか!」と。

「ほら!見てみろ!加藤、出てるんだ!!」
「先生!俺、吸ってねーよ!」
「じゃあ、何で出てるんだ!」

すると、友人達もみんな一斉に「先生!かーは本当に吸ってねーよ!」とか、
「絶対に何かの間違いだって!」と言ってくれました。

その中の一人に”いも”と言う家の近い友人が、
「先生!かーは絶対に吸ってねーよ!吸った俺が保証するんだって!」

とうとう、その熱意に「山岡」も折れて、「そこまで言うんだったら、信用するか。」
みんな安堵の顔。しかーし!「山岡」はそこまで甘くはありません!

「石黒(いも)、お前、さっき何て言ってた?」と不敵な笑み。

と言うわけで、”いも”を含め3、4人が一週間の停学になってしまいました。。。。。

”いも”元気かな?
もう、かれこれ17,8年は会ってないな~。。。。。

追伸、「リトマス紙」を取りに行く「山岡」の怒りで肩をゆすりながら歩いていく後姿を
前と後の戸から”そっと”皆で見ていたのも懐かしい・・・・・。

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