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『必死のパッチ』

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今日は、最近読んだ本で”オススメ”の本をご紹介します。

タイトルにもある『必死のパッチ』と言う本で、
著者は「桂 雀々(じゃくじゃく)」さんと言う、関西の落語家さんです。

『必死のパッチ』の意味は、大阪弁で言うところの「必死のさらに上」
を意味する言葉だそうで、「必死」と「死に物狂い」を足して、さらに
「がむしゃら」を掛けたようなものだ。と書いており、「言葉で説明できない
ぐらいのがんばり具合を表現する時に使う言葉だそうです。

今の若い人達は使わなくなった言葉で、完全に”昭和の言葉”だとも。

文字通り、雀々さんの「必死のパッチ」で生きてきた事を書いています。
ちょっと前に「ホームレス中学生」と言うのが流行りましたが、
どっちが「必死のパッチ」かとかは、経験していないあたくしなんぞが比べられませんが、

この本を読んでいて、単に「苦労したんだ~」とか、「可愛そうだな~」とか
そのようなお涙頂戴だけの内容ではなく、そこには関西人特有の「ツッコミとボケ」が
随所に散りばめられており、時に涙して、時に「プッ!」と笑えるような
温もりの感じられる内容です。

それにしても著者でもある”雀々”さんは、小学6年生の三社面談で
母親が「こうちゃん。ほなお母ちゃん先に帰ってるからな。気ぃ付けて帰っておいでや」
と、言われたのを最後に、その後母親と再会したのは実に29年ぶり。

しかも、29年前の記憶とはあまりにもかけ離れていて、いかにも大阪のおばちゃん
丸出しで、一方的に話しかけてくる姿に愕然としている様子がリアルに伝わって
来るくだりは本当に面白いです。

それもこれも、そこそこ流行っていた「うどん屋」をやっていた父親が
”ギャンブル”で作った借金のせいです。まじめにコツコツと「うどん屋」を
営業していれば、普通の生活ができたはずなのに、一発やの父親は
次から次へと借金をこしらえていきます。

とうとう、その父親も母親が蒸発した一年後に出て行きます。
後に残ったのは、水道も電気も止められた暗い部屋での生活と、
近所から借金の催促と、最悪の展開で”ヤクザ”の借金取りからの
怯えながらの毎日・・・・・。


しかし、そんな生活の中でも真向かいに住んでいる「出山(いでやま)商店」
のおばちゃんの”情”や、民生委員の”加藤家”の人達の気遣い。

それらを通して”雀々”さんの、12歳~15歳までをつづっています。

中学に入学をするというので、父親に無理を言って買ってもらった
12色の色鉛筆が11本しかなく、その中でも赤色の鉛筆がない事がありました。
何のことはなく、ギャンブル好きな父親が競馬とかでマーキングするために
息子の入学祝でもある色鉛筆セットから赤色を抜いてしまったのです。

それとか、入学祝で記念写真を撮るのですが、父親と二人で交代しながら
記念写真をとったりと・・・・・。(笑い)

父親が起死回生で”ピラニア”を飼い、売ろうとしましたが、皆、死んでしまい、
そのショックで父親が息子を道連れに心中を図ろうとしたり。

そん中、ラジオから流れてきた「落語」を聴いて、雀々少年は衝撃を受けます。

切なくも、温かいエピソードが満載の内容です。
文庫本で457円+税です。大通りの紀伊国屋さんにも、札幌駅の
紀伊国屋さんも沢山ありました。(C-0600あたりです)

読み終わって心が温まる本ですので、是非とも読んでみて下さい。


『必死のパッチ』

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