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ミン史上最も小型のモデルが登場。ヴィンテージのフレデリック・ピゲ製Cal.21を搭載し

限りある資源を使うのであれば、それはおもしろいものでなければならない。ミンが新たに挑んだプロジェクト21は、まさにその課題に応えるものだ。このモデルは現在では生産が終了したものの、長らく活躍してきたフレデリック・ピゲ製、20mm×1.75mmのCal.21を搭載する、同ブランド独自のエクストラフラットドレスウォッチである。

その結果として生まれたのが、タンタル製ケースを採用した35mm×6.9mmのタイムピースだ。本作はふたつのバリエーションが用意され、ブルーまたはコッパー(サーモン)のダイヤルを備える。なおブルーのスースクリプションダイヤルはすでに完売しており(詳細は後述)、本日よりコッパーダイヤルの予約が開始された。なお購入には30%のデポジットが必要となる。

プロジェクト21は、スーパーコピー時計代引き激安創業者であるミン・テイン(Ming Thein)氏に向けた“おまかせ”のチャレンジとして始まった。シンガポールでコレクターたちと食事をしている際に、“制約なしに、ただし実現可能な範囲で自分だけのためにデザインするとしたら何を作るのか?”という問いを投げかけられたのだ。そして“このディナーに集まったコレクターのための限定モデルをつくるつもりはあるか?”という話に発展した。

「クールではあるが、商業的には成り立たないデザインというものがある。大抵の場合それらはあまりにもニッチすぎたり、クセが強すぎたりするものだ。しかし、個人的には非常に魅力を感じる」と彼は語る。こうして、彼はアイコニックなウルトラシンムーブメントを再構築するという目標を掲げた。

この時計のベースとなったのはフレデリック・ピゲのCal.21だ。1925年に発表され、1992年にスウォッチグループがF.ピゲを買収するまで生産が続いた、歴史上最も薄いムーブメントのひとつであり、かつ最も長く製造されたムーブメントのひとつでもある。もとが小型であるためミンはケースをわずかにサイズアップして直径35mmとした。これにより、過去のエクストラシンモデル(27.01や27.02など)と同じ厚みに抑えつつ、50mの防水性能を確保している。ケースと仕上げの細部に関しては、時計師でありオルタナティブ・オロロジカル・アライアンスの共同創設者(ミンとフレミングもこの団体の一員)であるジョシュ・シャピロ(Josh Shapiro)氏と彼のチームが担当した。

ミンはTitAl SAおよびMathis Horlogerieと提携し、約50年前に設計されたF.ピゲ製キャリバー21を改良・再設計した。新たにブリッジを追加し、そのうちのひとつにはチタン製のものを採用。ダイヤルの色とマッチするよう仕上げられたこのブリッジはスケルトナイズされており、輪列の動きを視認できるようになっている。またルビーはシャトンにセットされ、クラシックな美観が加えられた。

本作はエクストラフラットながら、2層構造のダイヤルを備えている。一番上の層には、FEMTOprintによって加工されたホウケイ酸ガラスを溶融した層の内側に、多層のパターンをあしらっている。その下にはCVDコーティングされた厚さ400ミクロンの真鍮製プレートが配置され、上部のパターンと共鳴するようなデザインが施されている。針にはポリッシュ仕上げとファセット加工が施され、インデックスはクリスタルにエッチングされている。さらに本作は、ミンの時計としては珍しく夜光塗料を一切使用していない。

再設計されスケルトナイズされた、ヴィンテージのフレデリック・ピゲ製Cal.21。

ミンはスースクリプション“おまかせ”モデルとして、ブルーダイヤルの10本限定モデルを製作したが、新たにプロジェクト21の限定15本モデルを発表した。価格は3万2500スイスフラン(日本円で約550万円)で、購入には30%のデポジットが必要となる。時計にはジャン・ルソー製ストラップが1本付属し、さらにもう1本のストラップが選択可能。加えてAHA(オルタナティブ・オロロジカル・アライアンス)のためにJ.N.シャピロが手がけたタンタル製ブレスレットも用意されており、これは追加費用を払うと購入できる。

我々の考え
ミンがヴィンテージムーブメントを用いたのは、今回が初めてではない。同ブランドが過去に手がけた19.CR モノプッシャーは、個人的に最も印象的なモデルのひとつだ。それにはヴィンテージのビーナス140が搭載され、12時位置にインダイヤルを配した独特のディスプレイを持つ。また同ブランドはNOS(新古品)のモノプッシャー仕様ラ・ジュー・ペレ 5000ムーブメントも活用しており、こうした取り組みはミンらしい個性を表している。だからこそ、新たなプロジェクトの話を聞いたときは期待が高まった。実際、この時計は成功と課題の両面を持ち合わせているが、全体的には成功が上回っていると感じる。ミン・テイン氏自身も、こうしたプロジェクトが商業的なものではなく、純粋な情熱から生まれたものであることを率直に認めている。

この時計は、間違いなくつけ心地がいい。重厚なタンタル製ケースを採用することで、超薄型かつ小振りなケース特有の華奢な印象を打ち消してバランスを取っている。またシャピロ氏とそのチームによるケースの多彩な仕上げも見事だ。ただ個人的には、ブルーがかったダークタンタルの色調は、スースクリプションモデルのブルーダイヤルのほうがよりマッチしていたのではないかと思う。F.P.ジュルヌのクロノメーター・ブルーがアイコン的存在となったのも納得できる。

また、歴史的なフレデリック・ピゲ製ムーブメントを採用した点も魅力的だ。特に、スケルトナイズやチタン製ブリッジのダイヤルカラーへのマッチングなど、細部にわたる再設計によってその美しさが一層引き立っている。アングラージュやサブラージュの仕上げもいいアクセントになっている。ひと目見ただけでは、オリジナルのF.P.21や、その派生モデルであるブランパン、IWC、ロレックス、パテック(2回)、ロンジン、カルティエ、サーチナ、オメガ、ゼニス、ブエッシュ・ジローなどのムーブメントとは区別がつかないほどだ。同じ素材を使いながらも、これほど独自性を持たせた点は実に見事といえる。

私が感じた最大の問題点は、操作性と視認性の2点だ。まずリューズがかなり小さい。もしこれが大きければ時計の装着感に影響をおよぼす可能性があるが、それにしてもやや不自然なサイズであり、巻き上げや時刻調整がしにくいのが否めない。しかしこれにはもうひとつ実用上の理由がある。先週のインタビューでミン・テイン氏は、小型のリューズにすることでトルクを制限し、香箱の主ゼンマイを保護する設計になっていると説明してくれた。

ダイヤル上の目盛りが特定のミニッツマーカーとそろっておらず、やや混乱を招く点も気になった。

過去のミンウォッチに対しても視認性に関する指摘があったが、個人的にはそれらの多くが写真上の見え方と、実際に3D空間で見たときの違いに起因するものだと考えている。そのため、これまで実際に手に取って視認性に困ったことはなかった。しかし今回のプロジェクト21では、時折読み取りに苦労する場面があったのは事実だ。

影のなかでは針がはっきりと視認できるが、明るい光の下では見づらくなる。これは、おそらくダイヤル開口部が、一見するとミニッツマーカーのように見えるものの、実際には特定の間隔で揃っていないことに起因しているのだろう。そのため時刻を合わせる際に、針が正確にどの分を指しているのかわかりにくいことがあった。ダイヤルとクリスタル上のインデックスが微妙に食い違い、視認性に影響を与えているように感じる。ただそれを踏まえても、プロジェクト21はミンがブランドを進化させ続けていることを示す一例であり、そのスピードはほかのブランドにはなかなか真似できないものだと感じる。

基本情報
ブランド: ミン(Ming)
モデル名: プロジェクト21(Project 21)

直径: 35mm
厚さ: 6.9mm
ケース素材: タンタル
文字盤: 5Nローズゴールド製サーモンカラー
インデックス: FEMTOprintによるフューズド・ホウケイ酸ガラスの開口部をCVDコーティング真鍮プレート上に配置
夜光: なし
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ジャン・ルソー・パリ製カーフレザーストラップ(“フライングブレード”チタン製タックバックル付き)、選択可能な2本目のストラップ、オプションでJ.N.シャピロ製AHAタンタルブレスレット

Ming Project 21
ムーブメント情報
キャリバー: ヴィンテージのフレデリック・ピゲCal.21
機能: 時・分表示
直径: 20mm
厚さ: 1.75mm
パワーリザーブ: 約38時間
巻き上げ方式: 手巻き
石数: 18
クロノメーター: なし
追加情報: スケルトナイズされたチタン製輪列ブリッジ、サンドブラスト仕上げとポリッシュ仕上げのアングラージュ加工、Mathis HorlogerieおよびTitAl SAがミンのために改良・再設計

価格 & 発売時期
価格: 3万2500スイスフラン(日本円で約550万円)、購入時に30%のデポジットが必要で残額は納品前に支払い
発売時期: 発売中
限定: あり、世界限定15本

シチズンが世界初のチタン製腕時計誕生55周年と、

シチズン アテッサ アクトライン GPS F950がセラミックベゼルを初採用。

同ブランド(そして世界初)のチタン製腕時計、X-8 クロノメーターの50周年記念の時であった。それから5年後の現在、シチズンは新たな節目を迎えている。それがシチズンプレミアという新カテゴリーの誕生だ。このカテゴリーはシチズンのコレクションであるシリーズ8とアテッサを統合し、ブランドが誇るデザインと技術の最高峰を示すもの。その一環として登場するのが、新作のアテッサ アクトライン、サテライトウェーブ F950モデルである。

シチズン アテッサ アクトライン GPS F950は時・分・秒をグローバルな衛星と同期させることができる多機能モデルだ。それと同じシステムによるダブルダイレクトフライト機能を搭載し、ロレックススーパーコピー優良サイト26のタイムゾーンのなかから現地時間へ素早く切り替えることも可能だ。

さらに、20分の1秒計測が可能なクロノグラフ(24時間積算計付き)、パワーリザーブインジケーター、そしてエコ・ドライブムーブメントにどれだけの光が届いているかを示すインジケーターも備えている。もちろん、永久カレンダーも搭載。加えてこのエコ・ドライブムーブメントは、省エネモードで最大5年間の駆動を可能とし、月差±5秒という高精度を実現している。

ケースサイズは44mm×13.7mmで、素材にはスーパーチタニウムを採用。表面処理にはデュラテクトチタンカーバイドまたはブラックデュラテクトDLCが施されている。そして今回初めて、アテッサ アクトライン GPS F950にセラミックベゼルが採用された。価格はグレー、ブラックともに33万円(税込)で、今月より販売開始となる。

我々の考え
私はシチズンのスーパーチタニウムダイバーズウォッチの大ファンである。それらはシンプルで頑丈、そしてコストパフォーマンスに優れている。スーパーチタニウムは非常に軽量で傷がつきにくく、ステンレススティールの5倍の硬度を誇るという点で優れた魅力を持つ。その一方でシチズンは世界でも屈指の多機能かつ高度なクォーツウォッチを手がけており、最近ではそのマキシマリズムに心引かれ始めている。

もちろん、パーペチュアルカレンダー付きクロノグラフが欲しい。パテック フィリップの5270Pや5970Pは究極の時計だ。しかし、そのパテックは月差±5秒の精度を実現できるか? 衛星と同期できるか? 20分の1秒単位で計測できるか? 複数のタイムゾーンを追跡できるか? いいや、できない。そして5270Tを除けば、チタン製のモデルは存在しない。一方でこのアテッサ アクトライン GPS F950は100m防水に加え、エコ・ドライブを搭載しており、まさに“終末世界に備えた”1本とも言える。さらにブラックのデュラテクトDLCケースにマッチするブラックのセラミックベゼル、そして質感のあるブラックダイヤル…このデザインがとにかくクールだ。確かに普段のシチズンより価格は高めかもしれないが、その魅力は十分に理解できる。

基本情報
ブランド: シチズン(Citizen)
モデル名: アテッサ アクトライン GPS F950(Attesa ACT Line GPS F950)
型番: CC4104-53E(グレー)、CC4105-69E(ブラック)

直径: 44mm
厚さ: 13.7mm
ケース素材: スーパーチタニウム(デュラテクトチタンカーバイドまたはデュラテクトDLCコーティング)
文字盤: テクスチャードブラック
インデックス: ポリッシュ仕上げのアプライド
夜光: あり、針とインデックス
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: スーパーチタニウムブレスレット

Citizen Satellite Wave F950
ムーブメント情報
キャリバー: F950
機能: 時・分表示、スモールセコンド、サテライトGPS時刻補正機能(世界エリア対応)、ワールドタイム(27都市・40タイムゾーン)、20分の1秒計測クロノグラフ(最大24時間計測)、デュアルタイム、アラーム、永久カレンダー、サマータイム表示、パワーリザーブインジケーター、光レベルインジケーター
パワーリザーブ: フル充電時最大5年(パワーセーブモード作動時)
巻き上げ方式: エコ・ドライブ
クロノメーター: なし、ただし月差±5秒
追加情報: セラミックベゼル搭載

手放せずにずっと所有しているお気に入りの時計を聞いた。

時計業界に精通したジャーナリストやフォトグラファー、スタイリストとさまざまな人々の力を借りてひとつの記事に仕上げている。業界で何年もかけて培われてきた彼らの深い知見、技術に支えられ、僕たちは腕時計にまつわる深淵なストーリーを美しい写真とともにみなさんの元へ届けることができるのだ。

そして彼らもまた、それぞれの視点や価値観で編纂した独自の時計コレクションを所有している。時計業界と密接に関わる彼らだけにそのコレクションも移り変わっていくが、そんななかにも、時計そのものの価値を超えて手放せない、お気に入りの1本というものが存在する。今回はHODINKEEでも活躍している5人のプロに、特に思い入れのある時計について聞いた。

ダービー&シャルデンブラン インデックスモビーレ/高木教雄さん(ジャーナリスト)

「そもそも前提として時計を手放したことは一度もありません」と語るのは、1992年からフリーランスで活躍されているジャーナリストの高木教雄さんだ。時計のみならず建築からライフスタイルプロダクトまで幅広い分野に深い造詣を持ち、毎年スイスで開催される発表会や工房取材にも積極的に参加する彼への業界の信頼は厚い。

オメガスーパーコピーN級 代引きそんな高木さんが“手放せない時計”というテーマで選んだのは、あまり知られてこそいないがツウ好みのダービー&シャルデンブラン インデックスモビーレだ。「手に入れるきっかけとなったのは、10年以上前に浅岡肇さんから送られてきたメール。『高木さん、これ好きそう』と添付されていたヴィンテージ時計のECサイトJoseph Watches.comのリンクに飛んだ先で、機構とデザインにひと目惚れし、ニュー・オールド・ストック(新古品)であったことにも魅かれて即決しました。2023年にミラノで行われたオーデマ ピゲの新作発表会につけていったところ、ジュリオ・パピさんから『ちょっと見せて』といわれ、『機構もラグのデザインも、面白いね』と褒めていただいた。日本の天才時計師に勧められ、スイスの天才時計師に褒められたのだから、手放すわけにはいきません」

アップで見ると、3時、9時位置の一段くぼんだ積算計や、丁寧な造形の曲げ針に気が付く。

写真を見ると、ダイヤルの中央にコイルスプリングが設置されているのがわかると思う。これはブランドの創業者であるジョージ・ダービーが考案した簡易スプリットセコンド機構である“モノラトラパンテ”を動作させるためのパーツで、リューズの先端にあるプッシャーを押すことでクロノグラフ針と重なったスプリット針が停止し、中間タイムが計測できるようになっている。撮影のために年末年始にかけてお借りしていたので、僕もこの機構を試してみた。3時位置のプッシャーを押しているあいだスプリット針が停止し、中央のコイルが緩んでいく。計測終了後にプッシャーから指を離すと、コイルが元に戻る力でスプリット針がクロノグラフ針に追いつく仕組みだ。その独創的なルックスと、複雑機構のひとつに数えられるスプリットセコンドを簡易的に実現した技術面において、一部の愛好家から高い評価を受けている。2025年の明けに時計をお返ししたとき、高木さんは時計を裏返してムーブメントを見せてくれた。「ムーブメントはランデロン製です。華美な装飾はありませんが、そこがいいんです」

ロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.116509 メテオライト/前田 晃さん(フォトグラファー)

撮影のために訪れた事務所で前田 晃さんが取り出したのは、かなり年季が入って見えるロレックスのデイトナ 、そのなかでも特に希少なメテオライトダイヤルのものだった。デイトナからは2021年にもパンダダイヤルのメテオライトモデルがリリースされているが、前田さん所有のこちらはサブダイヤルにまで贅沢にメテオライトを使用した廃盤品となる。ホワイトのダイヤルに対し、4本の赤い針がいいアクセントとなっている。「当時からデイトナは男子にとって憧れのアイテムでした。デイトナはこれまでに何本か手に入れましたが、これはかれこれ18年くらい持っていますね。ちなみに、ホワイトゴールドに引かれて購入した時計がたまたまメテオライトだった、という感じです」と語る前田さんがフォトグラファーとして独立したのが今から27年前のこと。そのキャリアの大半を、この時計はともに過ごしてきたことになる。共に過ごして来た時間を示すように、表面には細かな傷が数多く見られる。「モノは使ってこそ。傷はまったく気にしていませんね」

ベゼルやブレスには細かな傷が見られる。18年という時間の長さを思わせる。

この日、前田さんに見せていただいたのはこのデイトナを含めて3本。いずれもコレクションのなかでも比較的長く所有しているモデルだという。バケットダイヤインデックスのパネライ(世界限定90本)など、希少な個体が並ぶ。

前田さんには普段からよく撮影をお願いしており、打ち合わせの際にはどちらかというとパテック フィリップのゴールデンエリプスなどもっと小振りなドレスウォッチをつけている印象が強かった。そのためこのデイトナが出てきたときには少し意外に感じたが、「基本は売っては買っての繰り返しです。でも、これだけは飽きがこなくて唯一売らずに今でもよくつけています」と前田さんは話してくれた。「購入時、親に見せたらこれは手放さないほうがいいと言われことを覚えています。加えて、なんというか相性がいいんですよね。一生ものって感じです」

ウブロ ビック・バン オールブラック/石川英治さん(スタイリスト)
この企画についての相談をメールで送った夜、HODINKEE Japanの5周年イベントで顔を合わせた石川英治さんは早速「これですよ」と僕に時計を見せてくれた。石川さんは雑誌から広告、芸能まで幅広い分野で活躍する、各種メディアから引く手数多の人気スタイリスト。HODINKEEでも時計のスタイリングを中心に、多くのクリエイティブをてがけてもらっている。そんな石川さんがその日身につけていたのが、ウブロ ビッグ・バンのオールブラックモデルだ。このモデルの発売は2006年。ビッグ・バンの登場が2005年であったことを考えると、比較的初期のものとなる。「当時、このようなコンセプトの塊のような時計をほかで目にすることはありませんでした。ラグジュアリーでありながら時計としての機能は本格的。一方でデイト表示すらブラックアウトしたアクセサリーのような見た目が、オールブラックに美学を持っていた自分のファッションともマッチしていると思ったんです」。オールブラックモデルのリリースを見た石川さんは、すぐさま日本の担当者に連絡。熱い思いをメールで伝え、購入に至ったという。「購入は2007年の10月24日でしたね」と、購入日まで明確に覚えているほど、その思いは強かったのだろう。

イベント会場にて撮影。この日もブラックを基調としたスタイリッシュなパーティスタイルのなか、ビッグ・バンは静かな存在感を放っていた。

「この時計は38mm径ですが、同じタイミングで44mm径も発売されていました。そちらは世界250本限定で、38mmは160本だったかな。38mmモデルの日本への入荷は4〜5本程度だったと当時聞きました。激戦を勝ち抜いて無事手にしたビッグ・バン オールブラック。もう購入から18年が経つ現在でも、石川さんといえばこの時計を思い出すほどよく身につけている印象だ。ちなみに、こんな話も挙がってきた。「2010年のFIFAワールドカップ南アフリカ大会ではウブロがオフィシャルタイムキーパーを務めていて、とても感激した記憶があります。選手交代時やロスタイム、その瞬間に表示された“HUBLOT”のロゴは、今でも目に焼き付いています」。時計を所有することで、そのブランドに紐づいたカルチャーや出来事をより強く意識する。これはそんな楽しい副次効果を示す一例かもしれない。

カルティエ タンク バスキュラント 90年代/仲唐英俊さん(スタイリスト)

仲唐英俊さんは前述の石川英治さんに師事したのち、2019年に独立。現在ではスタイリストとして、雑誌からブランドのカタログ、広告まで幅広く活躍している。彼の仕事を載せたInstagramからもわかるようにその軸はメンズファッションにあるが、時計のスタイリングに多く携わってきた師匠の元で学んできたこともあり、仲唐さんは現在HODINKEE Japanをはじめとするいくつかの媒体で腕時計の撮影もディレクションしている。「独立後、自分も時計のスタイリングにもこだわっていきたいと思ったんです」と語る仲唐さんの手首には、いくつかのシルバージュエリーに溶け込むように小振りなタンク バスキュラントがはめられていた。

約5年間のアシスタント時代にはほぼ毎日高級時計に触れる生活をしていたという仲唐さん。そのなかで、彼好みの古着のスタイリングにもクラシックなスーツスタイルにもマッチするカルティエに強い憧れを持っていたのだという。タンク バスキュラントを選んだのは、2018年ごろに六本木で開催されていたカルティエのイベントで目にしたことがきっかけだった。「カルティエにもこんなユニークな時計があるんだ、珍しいな、と思っていた矢先に、リース先の時計店でバスキュラントを見つけたんです。これは運命だと思いながらまだまだ当時はお金がなかったので……、3回ほど見に行き、師匠から誕生日プレゼントとしてもらったお金を頭金に48回払いで購入しました」


昔からひと味違うアイテムを好む傾向にあったため、あまり人と被ることがないというのもタンク バスキュラント購入の決め手となった。独立後、時計の撮影では基本的にこのモデルを身につけているという。「お仕事をご一緒するブランドさんへの配慮から、時計の現場では時計をしない人もいますね。しかし僕はあくまで、時計はブレスレットやリングなどアクセサリーの一部として身につけていてテンションが上がるものだと考えています」。そのため現場にはつけて行くものの、カルティエ以外の撮影では文字盤を回転させてブランドロゴを隠す。「これが僕なりの配慮です」と、仲唐さんは実際に文字盤を反転して見せてくれた。

なおこの時計は、独立にあたっての所信表明を込めたものでもあるという。このバスキュラント以降、レディスや小振りなヴィンテージカルティエをいくつか手に入れてきたという仲唐さんだが、「今後もこの1本だけは手放すことはないでしょうね」と語ってくれた。

ジャガー・ルクルト アトモス・トランスパラント/篠田哲生さん(時計ジャーナリスト)

篠田さんから届いたアトモス・トランスパラントの写真を見て、思わず息を呑んだ。長野にあるという、篠田さんのアトリエ。その窓辺に置かれたアトモスは遠く夕焼けの山岳を透過し、澄んだ空気を背景に静かに時を刻んでいる。ジャン=レオン・ルターによって産み落とされた1928年以来、アトモスはアール・デコ様式のエレガントな置き時計として多くの時計人に愛されてきた。過去には日本の伝統工芸をその表面に施したものやゴールドプレートで全体を覆った豪奢なものもあったようだが、2019年のSIHHでより現代的な邸宅にも似合う全面サファイアクリスタルのアトモス・トランスパラントが登場。篠田さんは会場でこの置き時計が飾られているさまを見て、いつか買おうと心に決めていたという。

文字盤の裏にあるカプセルが外気によって収縮することで動作する、100年近く変わらない仕組み。わずか1度の温度変化で約2日間の動力が確保できるという。アトモスが半永久機関と呼ばれる所以だ。Photo by Shinoda Tetsuo

それから2年が経った2021年、コロナ禍が訪れて自宅にこもる時間が増えてきたことで、購入意欲に火がついた。ゆっくりと振り子が動き、駆動する様子を隅々まで見られるのはトランスパラントならではの恩恵だ。「眺めていて飽きることはありませんね」と篠田さんは語る。「ご存じだと思いますが、アトモスは温度変化によるガスの収縮を利用してゼンマイを巻き上げる時計です。しかし温度変化にやや弱く、アトリエの環境ではなかなか精度が安定しないのが玉に瑕ではあります。ですが、正確な時間を知るために選んだものではないので問題ありません」。そもそも現代においては置き時計を買うということ自体が少し特別であり、しかもそれが100年近い歴史を持つ傑作・アトモスであるなら、経験そのものが稀有で貴重なものとなる。ちなみに購入当時、篠田さんはその経験を独り占めするのはもったいないと、いくつかの時計専門誌にてその顛末を記事にしている。

購入からしばらくは東京にある自室に鎮座していたが、現在では新しく構えた長野のアトリエに移動されている。「友人や知人が訪問した際にはアトモスが話題のきっかけとなり、最高のコミュニケーションツールとして機能してくれます。この時計にはアトリエのシンボルとして、これからの時間を刻んでいって欲しいですね」

ジラール・ペルゴの実力者が集結し、世界の高級時計市場で次なるビッグネームを目指す。

ブランド初のリリースとしては記憶にある限り最高クラスの価格帯にも達した。そのブランドこそヴァンガード(Vanguart)であり、時計はブラックホール トゥールビヨン、価格はプラチナまたはゴールドのケースで32万スイスフラン(日本円で約5400万円)である。もし私と同じように、この価格に思わず驚いて目を背けスルーしたなら、それは少しもったいなかったかもしれない。たとえ8桁の価格帯の時計を買う予定がなくても、これはチェックしておく価値がある時計だ。

ヴァンガードは、2017年に4人の創業者によってスタートした。つい最近、そのうちのふたりであるCEOのアクセル・ロイエンベルガー(Axel Leuenberger)氏と会長のメフメト・コルチュルク(Mehmet Korutürk)氏に話を聞く機会があり、ブランド誕生の背景や、自分が見逃していたことを知ることができた。

ロイエンベルガー氏はAPRP(オーデマ ピゲ・ルノー・エ・パピ)でジュリオ・パピ(Giulio Papi)氏のもとで経験を積み、技術開発を担当。一方のコルチュルク氏は金融畑出身で、以前はF1チームを所有するプライベート・エクイティ会社(未公開企業への投資を行う会社)に勤めていたという異色の経歴を持つ。さらに、クリエイティブディレクターのティエリー・フィッシャー(Thierry Fisher)氏と、APRPで15年、ジラール・ペルゴで6年のキャリアを持つCTOのジェレミー・フレルショー(Jeremy Frelechox)氏が創業メンバーに加わった。そんなヴァンガードも設立から8年が経ち、今では15名のチームに成長。組み立て、仕上げ、デザインを担うスタッフがそろい、ウブロスーパーコピー優良サイト本格的にブランドとしての基盤を築いている。

ブラックホール トゥールビヨンは直径43mm、厚さ15mmと存在感のある時計だが、技術的な革新は内部ではなく、むしろ外観にある。このモデルはムーブメントとケースが一体化した設計になっており、フォルムはどこかUFOのような印象だ。特に目を引くのが、時・分・秒を表示する三重の同心円が立体的に配置されている点である。ダイヤルは中央に向かって傾斜し、その中心付近には1分間で1回転するフライングトゥールビヨンが浮かぶようにセットされている。このトゥールビヨンはダイヤルの中心から少しずれた位置にあり、まるで名前の由来であるブラックホールが重力で空間を歪ませているかのような視覚効果を生み出している。

ヴァンガードの第2作目となるオーブはデザインも価格もやや抑えめ…とはいえ、それもあくまでブラックホール トゥールビヨンと比べればの話だ。チタンケースで15万スイスフラン(日本円で約2500万円)、ローズゴールドで18万スイスフラン(日本円で約3000万円)と、依然としてかなりのハイエンドモデルであることに変わりはない。だが価格だけで判断するのはもったいない。この新モデルには、じっくりと味わうべき魅力が詰まっている。

我々がなぜ気に入ったのか
昨年あたりから新ブランド、ヴァンガードの投稿をちらほら見かけるようになったのだが、正直なところ、最初はちょっと疑いの目で見ていた。この価格帯となるとどうしても警戒心が働くものだ。実際、市場には他ブランドのデザインコードを借りたり、見た目の派手さだけで本質が伴わない時計を高額で売るブランドも少なくない。そうした時計を、価値を見極めるのが難しい人々に向けて売り込むケースもある。正直なところ、こうした時計の魅力を説明され続けることに、少し疲れてしまっていた。だからこそヴァンガードをほかのそういったブランドとひと括りにしてしまい、深く掘り下げなかったのは自分のミスだったと、今になって思う。

ヴァンガードは本物だとベン(・クライマー)と私に言った。その後、小売店Material Goodのウォッチ部門責任者のヨニ・ベン・イェフダ(Yoni Ben-Yehuda)氏が、オーデマ ピゲ、リシャール・ミル、H.モーザー、ビバーと並べてヴァンガードの時計を取り扱い始めた。これをきっかけに“きちんと向き合うべき時計なのかもしれない”と思うようになった。実際にオーブを見てみて、予想以上に素晴らしかったというのが率直な感想だ。

ヴァンガード オーブは細部にこそ真価が宿る時計だ。パッと見た印象ではリシャール・ミルとロイヤル オーク コンセプトを融合させたようにも見えるが、それはそれで納得できる話だ。偉大な時計やブランドからインスピレーションを得ること自体、決して悪いことではない。実際、ロイヤル オーク コンセプトは個人的にもお気に入りの時計であり、手首のサイズ的に無理なくつけこなせる数少ないモデルのひとつだ。そしてこのふたつのモデルの存在を語る上で欠かせないのがAPRPだ。ロイエンベルガー氏やCTOのジェレミー・フレルショー氏が技術を磨いた場所でもあり、彼らのバックグラウンドを考えればヴァンガードのデザインにこれらの影響が見られるのも頷ける。ただヴァンガード オーブは、装着感と仕上げに特にこだわっているのが特徴だ。

オーブを手に取ってまず感じるのは、緩やかにカーブしたケースが手首に驚くほど自然にフィットすることだ。直径41mm、厚さ10.5mmとサイズのバランスも申し分なく、スタイリッシュで未来的なフォルムが快適なつけ心地を実現している。さらにじっくりと細部を見ていくほどに、細やかな工夫が随所に施されていることがわかる。

地板とブリッジにはグレード5チタンが採用され、サンドブラスト仕上げの表面には手作業によるサテン仕上げとハイポリッシュの面取りをあしらっている。このスケルトンムーブメントの仕上がりは見事で、時計内部を覗き込めるほどのオープンワークがありつつも、必要以上に見せすぎない絶妙なバランスが取られている(もし自分の青白い肌が映り込むのが苦手なら、その点も心配無用。まあ、それは自分だけの話かもしれないが)

ヴァンガードのロゴはブリッジにもしっかりと刻まれている。しかし、視線を少し引いてダイヤル全体を眺めると、見返しに浮かぶ2mmのブリリアントカットダイヤモンドが目に入る。このダイヤモンドは単なる装飾ではなく、ムーブメントを囲むペリフェラルローターのカウンターウェイトとして機能している。さらにもう1歩引いて観察すると、リューズにプッシャー機能が組み込まれていることにも気づく。

この仕組みにより、リューズを引くことなく時刻設定、ローターの作動(時計を動かすとダイヤモンドがダイヤル上を回転する)、ローターの固定という3つのポジションを切り替えられるようになっている。このデザインは一部のAP ロイヤル オーク コンセプトモデルに採用されているプッシャーとよく似た構造となっている。

最後に、装着感をさらに高めているのが、簡単に使えるクイックチェンジ式ストラップシステムだ。チタンモデルにはブラックストラップ、RGモデルにはホワイトストラップが付属し、簡単に交換できる仕様になっている。

次に来るもの
今年、ヴァンガードはスタッフを20名規模に拡大し、全チームをひとつの拠点に集約する計画を進めている。さらに自社の時計づくりに取り組むだけでなく、ルノー・エ・パピがかつてそうであったように、ほかのブランドの依頼にも応じ、技術提供を行っている。

15万スイスフラン(日本円で約2500万円)という価格帯には、多くの素晴らしい時計がひしめき合っているが、ヴァンガードのチームや米国の小売店Material Goodによれば、需要が高くて生産量が限られているため、最初の顧客を慎重に選んでいるという。オーブの年間生産本数は最大40本程度に抑えられ、ヴァンガードはあくまでも着実な成長を目指している。

とはいえ、ヴァンガードにまったく話題性がないわけではない。Material Goodのヨニ・ベン・イェフダ氏はアスリートやセレブリティとのつながりに長けているため、近いうちにヴァンガードの時計が著名人の手首に登場することも十分に考えられる。もちろん、その一方で“普通の人々”(少なくとも15万スイスフランを自由に使える人々)のための本数も、しっかり確保されているはずだ。

クオリティの高い時計が、手ごろな価格で手に入るヴィンテージ セイコー。

我々は名門ブランドによる精巧な仕上げのムーブメントに対して、少々高額な対価を払う価値があると考えることが多い。しかし必ずしもそうである必要はない。
今回はフェリックスが1970年代における重要なヴィンテージのセイコー クロノグラフを取り上げ、それらの歴史的価値や購入時のポイントを解説する。きっと楽しんでいただけるはずだ。ぜひ続きをご覧いただきたい。

日本の時計と聞いて、真っ先に思い浮かぶのはセイコーだろう。世界最大級の時計メーカーのひとつであり、創業は1881年にさかのぼる。その生産量は膨大で、ラインナップの多様性も圧倒的だ。しかし一般的なイメージとしては“手ごろな価格で信頼性の高い時計を作るブランド”であり、スイスの名門メーカーとは異なるカテゴリーに属すると見られている。

グランド セイコーやスプリングドライブを例に挙げれば、セイコーがいかに卓越した技術と革新性を誇るブランドであるかがわかる。そしてもうひとつよく語られるのが、セイコーの時計の高いコストパフォーマンスについてだ。

私が特に注目しているのは、パネライスーパーコピーN級品この“コストパフォーマンスの高さ”である。1970年代のセイコーのヴィンテージ クロノグラフは、時計愛好家のあいだでカルト的な人気を誇っている。その理由は明白だ。この時代はセイコーの黄金期であり、同社は伝統に縛られたスイスの時計産業に対して当時最先端の製造手法で挑んでいた。これはセイコーが世界初のクォーツウォッチを発表し、時計の歴史を一変させる直前の時代の話である。

セイコー クロノグラフの物語が本格的に始まったのは、時計史において重要な年である1969年のことだ。この年、満を持して3つの自動巻きクロノグラフが誕生した。複数のブランドが共同開発したキャリバー11は、特にホイヤーによって広く知られるようになった。またゼニスとモバードが開発したエル・プリメロは、現在も生産が続いている。このふたつのムーブメントは、素晴らしいストーリーを携えて多くの魅力的なヴィンテージウォッチに搭載されている。そして1969年に登場した3つ目の自動巻きクロノグラフは、ほかのふたつに比べると目立たない存在かもしれない。しかしセイコーのRef.6139(およびその後継機であるRef.6138)は歴史的にも高い意義を持ち、なおかつほかよりもはるかに入手しやすいという大きな魅力がある。

そしてヴィンテージのセイコー クロノグラフ最大の魅力は、やはりその価格の手ごろさだ。状態のいい実用的な個体なら、150~200ドル(当時のレートで約1万2000~1万6000円)程度で購入できる。これは自動巻きコラムホイール クロノグラフとしては破格であり、ヴィンテージウォッチ全般で見ても非常に手ごろな価格設定だ。ここではセイコーの自動巻きクロノグラフにおいて代表的なふたつのムーブメント、Ref.6139とRef.6138のなかでも特に注目すべきモデルを紹介しよう。

ウィリアム・ポーグ(William Pogue)大佐のセイコー

Ref.6139はセイコーが初めて開発した自動巻きクロノグラフムーブメントだ。30分積算計を備えたシングルレジスターのクロノグラフで常に動作する秒針はなく、クイックセット式のデイデイト表示を搭載している。製造期間は1969年から1979年ごろまでとされている。Ref.6139には多彩なダイヤルカラーやケースデザインが存在し、さまざまな名称で販売されたが、なかでも特に有名なのが“スピードタイマー”シリーズだろう。しかしRef.6139の愛好家のあいだで最も象徴的なモデルとして知られているのが、Ref.6139-6002こと通称“ポーグ”だ。

"ポーグ”についてのストーリー

この“ポーグ”の名はかつて米空軍のアクロバット飛行隊“サンダーバーズ”に所属し、1973年のスカイラブ4号ミッションに参加した宇宙飛行士ウィリアム・ポーグ大佐に由来する。ポーグ大佐はこのミッションで、特徴的なイエローダイヤルのRef.6139をオメガ スピードマスターとともに着用していた。NASAの正式な支給品ではなかったが、彼は訓練中から愛用していたRef.6139の性能を信頼し、エンジンの燃焼時間を計測するために持ち込んでいたのだ。

時計愛好家のダヴィド・ブルーノ(David Bruno)氏がこのエピソードを丹念に調査し、公表したことで、ポーグ セイコーの物語が明るみに出ることとなった。そして現在、この特徴的なイエローダイヤルのクロノグラフは“宇宙で初めて使用された自動巻きクロノグラフ”として広く認識されている。

2008年、大佐は信頼を寄せていたセイコーの時計を金庫から取り出し、オークションに出品した。落札金額は6000ドル(当時のレートで約47万円)弱。正真正銘の“スペースウォッチ”としては破格だが、Ref.6139の通常の価格に比べればプレミア価格といえる。

Ref.6139が(諸説あると思うが)世界初の自動巻きクロノグラフとしての称号を得ているとすれば、その後継機であるRef/6138はクラシックなセイコー クロノグラフのなかで最も人気が高く、最も汎用性に優れたモデルといえるかもしれない。初期のRef.6138はRef.6139のすぐ後、1970年に発売された。そしてRef.6139と同様に1979年まで生産が続けられた。このふたつの時計の最大の違いは、Ref.6138が12時間積算計を追加した2カウンタークロノグラフであることだ。セイコーのヴィンテージウォッチにおいては特定のモデルやデザインが熱狂的な支持を集め、独自の愛称がつくことが多い。Ref.6138も例外ではなく“UFO”や“ブルヘッド”といったニックネームで親しまれている。

“UFO”についてのストーリー

“UFO”はその名のとおり、宇宙船のような円盤型のケースデザインが特徴的なモデルだ。発売当初の広告では“ヨットマン”とも呼ばれていたが、正式な型番であるRef.6138-0010/0011/0017よりもUFOという名称の方が広く知られている。この厚みのあるラグレスケースを見れば、なぜ現代のコレクターたちを惹きつけるのかがよく分かるだろう。その独創的なフォルムは、製造された時代の雰囲気を色濃く映し出している。

ブルヘッド

文字盤を補修したブルヘッド。

“ブルヘッド”についてのストーリー

ブルヘッドは、セイコークロノグラフ史上最も異質でクールな外見を持つモデルのひとつだ。従来の時計のようにリューズやプッシュボタンを文字盤の右側に配置する代わりに、ムーブメントを回転させて頂点、すなわち12時の位置に取り付けている。つまり、ボタンがちょっと牛の角のように見えるというわけだ。上部にプッシュボタンがあるため(時刻調整の際に)時計をはめたり外したりする手間が省ける、という説明がされている。

理屈はどうあれ、異様な見た目のクロノグラフが誕生したのだ。ブラックダイヤルと、とても美しいブラウンダイヤルの2種類がある。これらの特異なクロノグラフはかなり人気で、より一般的なモデルよりも高い値がつくことがある。100~200ドルどころか、200~300ドル(当時のレートで約1万6000円~2万3400円)という価格が想定される。ムーブメントのせいでRef.6138はどれも厚みがあるが、手首に巻かれたブルヘッドは特に大きな感触を受ける。

ブライトリング ナビタイマー B19 クロノグラフ43 パーペチュアルカレンダーがついにステンレススティールで登場

ブライトリングのCal.B19が昨年デビューした際、それはローズゴールド製の限定トリオモデルとして発表された。自動巻きのパーペチュアルカレンダークロノグラフを開発するのは容易なことではなく、ブランドがわずか420本の限定にとどめるとは考えにくかった。そして今回、ブライトリングはナビタイマー B19 クロノグラフ43 パーペチュアルカレンダーをステンレススティールで発表する。貴金属モデルよりも手ごろな価格であることに加え、限定モデルではない点もポイントだ。

アイスブルーのサンバーストダイヤルを特徴とする新しい41mm×14.94mmのSS製ブライトリング ナビタイマーQPクロノグラフはCal.B19を搭載し、30m防水性能を備えている。この自動巻きパーペチュアルカレンダームーブメントは約96時間のパワーリザーブを誇り、コラムホイール式クロノグラフを採用。ブライトリングスーパーコピー 激安振動数は2万8800振動/時で、ケースサイドに組み込まれたプッシュボタンでパーペチュアルカレンダーの調整が可能となっている。また本モデルはCOSC認定も受けている。

この新しい非限定モデルは、ブラックのアリゲーターレザーストラップ(SS製フォールディングバックル付き)で475万2000円(税込)、または7万7000円の追加で、7連SS製ブレスレット仕様も選ぶことができる。

我々の考え
オリジナルのリミテッドモデル発表にはあまり注目していなかった。なぜなら、それらは限定かつ高価なモデルだったからだ。貴金属ケースの時計であればそれも納得できる。しかし今回のSSモデルには興味をそそられた。

サイズは依然としてやや厚めではある(ブライトリングは慎重に設計し、厚さを15mm未満に抑えているが、それでも反射的に敬遠する人もいるだろう)。また475万2000円(税込)という価格は決して安いとは言えない。しかし、パーペチュアルカレンダー クロノグラフとしては比較的手の届きやすい価格帯に入る。実際に、現在生産されているモデルのなかでほかに思い当たるのは、2022年に発表されたハブリング² クロノ フェリックス パーペチュアルくらいで、その発売時の価格は2万5000ドル(日本円で約370万円)弱だった。アイスブルーのダイヤルも美しく、全体として非常に魅力的なモデルに仕上がっている。これはぜひ実物をチェックしに行きたいと思った。

基本情報
ブランド: ブライトリング(Breitling)
モデル名: ナビタイマー B19 クロノグラフ43 パーペチュアルカレンダー(Navitimer B19 Chronograph 43 Perpetual Calendar)
型番: PB1920251C1A1(ストラップ)/PB1920251C1P1(ブレスレット)

直径: 41mm
厚さ: 14.94mm
ケース素材: ステンレススティール(プラチナ製ベゼル)
文字盤: サンバーストアイスブルー
インデックス: アプライド
夜光: あり、スーパールミノバ(インデックス、時・分針)
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: SS製7連ブレスレット(バタフライクラスプ付き)またはブラックアリゲーターレザーストラップ(SS製フォールディングバックル付き)

ムーブメント情報
キャリバー: ブライトリング マニュファクチュール B19
機能: 時・分表示、スモールセコンド、日付・曜日・月・うるう年表示、永久カレンダー、コラムホイール式クロノグラフ、ムーンフェイズ
直径: 30mm
厚さ: 8.53mm
パワーリザーブ: 約96時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 39
クロノメーター: あり

価格 & 発売時期
価格: ストラップ仕様は475万2000円、ブレスレット仕様は482万9000円(ともに税込)
発売時期: 発売中

モーザーは自社製のHMC 811ムーブメントを使って本物の芸術作品を創造した。

グランプリを控えた今週末、モーザーはアルピーヌF1チームとモーザーの新しいブランドアンバサダー、ピエール・ガスリー(Pierre Gasly)氏との新たなパートナーシップを強固なものにするために、数週間前に発表したブルーのストリームライナー シリンドリカル・トゥールビヨン スケルトンの後継モデルを発表した。この時計には、BWTアルピーヌF1チームのユニフォームを表すブルーのアクセントが付いている。もちろんF1を知っている人なら、チームのスポーツカラーはブルーだけではないことをご存じだろう。100本限定生産のLEがブルーだったのに対し、今回は20本限定生産のシリンドリカル・トゥールビヨンがピンクで登場する。

ピンクバージョンは基本的にブルーと同じだが、パテックフィリップスーパーコピー代引き優良サイトストラップの色が印象的なピンクに変わったほか、12時位置に鮮やかなピンクの小さな文字盤が付いている。42.3mmのケースはドーム型のサファイアクリスタルが施されたスティール製で、エレガントにスケルトナイズされたダイヤルには、夜光マーカーとインデックスが配置されている。

モーザーは自社製のHMC 811ムーブメントを使って本物の芸術作品を創造した。ムーブメントの立体感を感じさせると同時に、時計をとおして直接手首の下を見ることができる。

昨夜のレース開幕記者会見で、モーザーのアンバサダーとして最初の質問に答えるために表彰台に上がったガスリー氏は、1本ではなく2本の時計を身につけていた。どちらもピンクとブルーのモーザー限定モデルである。将来、誰もがこのような機会を得ることはないだろうが、2色のカラーが並んだ時計を見るのはとてもクールだった。

我々の考え
モーザーのF1参入は、それ自体がニュースだ。(創業者の)メイラン家はこのブランドを新しい時代に導き、毎年、高級時計の新鮮なテイクを提供してきた。私はしばしば、ピクセル化された消しゴムや“Apple Watchと呼ばないで”と言わんばかりの時計など、より活気に満ちたリリースを思い出す。しかしここ数年、ストリームライナーはさまざまな意味で有名になり、モーザーの中心的なモデルとしての地位を確立している。

ブランドの基盤が拡大するにつれて、彼らが新しい分野に進出するのは当然であり、アルピーヌとのパートナーシップは確かに新境地である。これはモーザーのブランディングに対するスタンスを考えるとさらに明確である。ほとんどの場合、その時計のダイアルにはブランド名が表示されず、表示されている場合でもほとんど目立たない。しかしアルピーヌが魅力を感じたのは、自らのブランド理念へのこだわりであり、派手さへのこだわりよりも技術へのこだわりをアピールするためでもあったのだ。

したがってこの最初のパートナーシップは、典型的なレーシングウォッチではなく、むしろモーザーが得意とすることをさらに追求してひねりを加えたものである。数週間前ブルーエディションを聞いたときは気に入っていたが、いま両方の時計を見て、ピンクがとてもクールだと断言できる。失敗しやすい色のひとつであるが、このデザインに程よい派手さを加えている。

手首に装着すると、42.3mmのサイズは41mm装着感に近く感じられる。ラバーストラップは、モーザーが常に行ってきたこと、つまり時計業界ではあまり注目されていないのだが、最高のラバーストラップを提供している。もちろんこれは20本のみの限定モデルなので、8万9000スイスフラン(日本円で約1505万2000円)という価格を考えると、世界中で多く見かけることはないだろうが、F1マイアミと、いつも我々を興奮させてくれるブランドとの新しいパートナーシップを祝うには本当に素晴らしい方法である。

基本情報
ブランド: H.モーザー(H. Moser & Cie)
モデル名: ストリームライナー シリンドリカル・トゥールビヨン スケルトン アルピーヌ 限定モデル ピンク
型番: 6811-1202

直径: 42.3mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: スケルトン、12時位置にピンク文字盤
インデックス: アプライド
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 120m
ストラップ/ブレスレット: ピンクラバーストラップ

Moser
ムーブメント情報
キャリバー: HMC 811
機能: 時・分
パワーリザーブ: 約74時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 28

価格 & 発売時期
価格: 8万9000スイスフラン(日本円で約1505万2000円)
発売時期: モーザーオンラインストアのみ
限定: あり、世界限定20本

今年も世界最大級の時計見本市が幕を閉じた。

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カルティエ 「サントス デュモン リワインド」

カルティエのリリースで最も目立っていたのはおそらく「トーチュ」コレクションでしょう。もちろんそれらも素晴らしいものでしたが、個人的に一番惹かれたのは「サントス デュモン リワインド」でした。歯車を追加して、ただ時間表示がリワインドしている(巻き戻される)だけではないのかと思うかもしれませんが、実はそこに大きな意図が隠されているのではないかと思ってしまうのです。そう思うようになったのは、僕の友人でニューヨークで時計店Carat&Co.を経営するデレック氏(@theminutemon)と会話をしたことがきっかけ。

リワインドの背景を考えるためのキーは3つあります。シャネル 時計スーパーコピー代引き優良サイトまず最初の出発点は「時計の運進がなぜ右回りなのか」ということ。これは諸説ありますが、地球にあった多くの文明が北半球にあったからというのが大きな理由とされています。北半球で日時計を見ると影は右回りに動いていますよね。そのため時計回り=右回りなのです。では逆回転になるのはどこでしょうか...。

これを理解する上で最初に考えるべきは「時計の運進がなぜ右回りなのか」ということ。これは諸説ありますが、地球にあった多くの文明が北半球にあったからというのが大きな理由とされています。人類最古の時計は日時計で、紀元前5000年ごろのエジプトが発祥とされています。エジプトのある北半球で日時計を見ると影は右回りに動いていますよね。時計回り=右回りはここら来ているのだろうということ。では逆回転になるのは地球上でどこでしょうか?

簡単すぎましたね。そう答えは南半球です。北半球で定められた右回りのルールに南半球が倣ったことで、時計回りは右回りという今の世の中の常識が定められているのです。ひとつめのキーは南半球。

では、次のキーはというと「サントス デュモン」ウォッチの出自にあるのではないでしょうか。「サントス デュモン」をカルティエに発注したのは、ご存じのとおりアルベルト・サントス=デュモンです。彼はブラジル出身の飛行家で、操縦桿を握りながらでも計時ができるようにと要望してできたもの。ブラジルは南半球に位置します。つまり日時計が左回りになる国。

そして3つめのキーは本モデルのカーネリアンラッカーのダイヤルです。素材であるカーネリアンの原産国はインド、ウルグアイなどもありますが、ブラジルもそのひとつ。カーネリアンのダイヤルはカルティエのブランドカラーでもある深い赤いカラーです。世界初の腕時計がカルティエであったという誇りをアピールしているかのように感じます。

ケースバックの「サントス デュモン」のロゴも鏡文字に(Photo by Mark Kauzlarich)

この推測はプレスリリースで語られているものではないですが、南半球に位置するブラジル、そのブラジル出身のアルベルト・サントス=デュモン、そしてダイヤルの素材という3要素がこの不可思議なリワインドウォッチの背景にあるのではないかと僕もどうしても勘繰ってしまうのです。

グランドセイコー SLGW003 ブリリアントハードチタン

実際に会場に行ったという人も、日本からSNSや記事で新作情報を追いかけていたという人も、今年のWatches & Wondersは楽しめただろうか。僕は残念ながら会期中日本にいたのだが、日々津波のように押し寄せるリリースに目を通しながら遠いジュネーブの地に想いを馳せて過ごしていた。わずか2mm厚のフライングトゥールビヨン、世界最薄のCOSCウォッチに胸を躍らせ、3900mまで潜水できる金無垢のダイバーズに虚をつかれながら、このなかで実際に手に取って見られるとしたらどれがいいだろうと、1週間悶々としていたのだ。

もちろん、和田が紹介しているカルティエのリワインドや美しいブレスを装着したゴールデン・エリプスのように、その発想のユニークさや超絶技巧の粋に触れたいという好奇心から見てみたい時計はいくつもあった。だが、純粋な時計としての美しさという点で、グランドセイコーから発表された手巻きのドレスウォッチ、SLGW003は僕の心を強く打った。

デザインのベースとなっているのは、1960年代から続くセイコースタイルの発展形として2020年に発表された“エボリューション9スタイル”。筋目と鏡面を組み合わせることで立体的な陰影を生み出したケースラインの内側では、ダイヤカットを施したインデックスと多面カットの針が燦然と輝いている。実はこのケースはグランドセイコー独自のチタン合金であるブリリアントハードチタンでできている。かつては初代グランドセイコーデザイン復刻モデルにも使われたこの素材はレギュラーモデルではこのSLGW003のみに採用されており、チタンならではの軽さに加え、SSの約2倍の硬度を持つ。ドレスウォッチにチタンと聞くと少々珍しく感じるが、ザラツ研磨による煌びやかな光沢はマーク曰くまるでホワイトゴールドかプラチナのようであるという。手巻きのドレスウォッチにもマッチするエレガンスを担保しつつも時計としての実用性も忘れな、“最高の普通”を標榜するグランドセイコーらしい選択に思える。有機的な質感の白樺ダイヤルとのコントラストも面白い。

もうひとつの推しポイントとして、約50年ぶりとなる新作の手巻きムーブメントCal.9SA4が挙げられる。ツインバレルによる80時間のパワーリザーブにデュアルインパルス機構を備える自動巻きのCal.9SA5をベースとしているが、ただローターをとっぱらったというだけではない。ブリッジを含めた全体の4割を今作のために再構築し、100万円越えの時計にふさわしい美観を獲得した。手巻きムーブメントへのアレンジはケースの薄型化にも貢献していて、10mmを切る9.95mmとなっている。ただでさえ低重心で、つけやすさに定評のあるエボリューション9スタイルだ。薄さはドレスウォッチに欠かせない要素だが、素材の軽さと相まって着用感にも優れたパッケージになっているのだろうと思う。

とにかく合理的だ。既存のエレガンスコレクションが見せるひたすらにクラシックな魅力も捨て切れないが、個人的には革新性とのバランスもとったSLGW003はよりグランドセイコーらしい時計であるように見える。200万円以下の自社製手巻きドレスウォッチという記事もあったが、今同じ企画を実施したら採用される可能性は高いだろう。見た目やコンセプト的に派手なモデルだけが注目されるわけではない、というメッセージも込めて、僕はこのドレスウォッチを推したい。

チューダーからペラゴス FXD クロノ“サイクリング”が登場。

チューダー プロサイクリングチームは、カーボンで覆われた新しいFXDクロノグラフを携えてジロ・デ・イタリアに挑む。

今週末、ジロ・デ・イタリア 2024がイタリアで開幕され、サイクリストたちは最初のステージであるヴェナリア・レアーレからトリノまでの140kmを走った。チューダースーパーコピー代引き優良サイト有名なジロ・デ・イタリアは1909年に初めて開催されたが、今年は特筆すべき新たな要素がある。それはチューダー プロサイクリングチームが、全長3400kmの厳しい21ステージのレースにブランドを代表して参戦することだ。その若いチーム最初のグランドツアーであり、その参戦を記念して、チューダーはペラゴス FXDクロノの特別バージョンである、ペラゴス FXD クロノ“サイクリング”エディションを発表した。マットなカーボンケース、チームをイメージしたカラーリング、60分目盛りの固定ベゼル、サイクリスト専用のタキメータースケールを備えた新しいFXDクロノグラフは、アリンギ・レッドブル・レーシングエディションのクロノグラフを継承しながら、自転車レースをテーマにしたその時計にすべて詰め込んでいる。

その中核をなす、この新しいFXD クロノグラフは、先代のレッドブルモデルと非常によく似ており、43mmのマットカーボンケース、自動巻きクロノグラフムーブメント、FXDのラインナップに共通するスポーティな焦点を備えている。固定バーのケース構造に、赤いアクセント(チューダーのブランドカラーとチューダー プロサイクリングチームのカラー)を効かせたブラックの文字盤、そしてブラックのファブリックストラップが配されている。自転車にインスピレーションを受けた進化で顕著なものは、60分固定のベゼル、200mから100m防水への変更、レーシングカーの一般的な速度ではなく、自転車の一般的な速度に合わせて調整された自転車専用のタキメータースケールの採用である。タキメーターを使用すると、ライダーは一定の距離の平均速度を計算することができる。

内部には、初代FXDクロノグラフによって確立されたものと同じチューダーのMT5813が搭載されている。ブライトリングB01をベースにした2万8800振動/時の自動巻きムーブメントで、約70時間のパワーリザーブ、6時位置に日付を配し、最大45分間のクロノグラフ計測が可能である。COSC認定を取得したMT5813は100mの防水性能で保護されており、クロノグラフ機能はレーストラックを周回するためではなく、サイクリング用に設計された専用タキメータースケールと連動して使用することができる。

チューダー ペラゴス FXD クロノ“サイクリング”の価格は74万300円(税込)であり、限定モデルはない。現在チューダーのアクティブなラインナップの一部となっている。

我々の考え
サイクリングファンにとってジロ・デ・イタリアは一大イベントであり、チューダーはこのイベントの公式タイムキーパーも務めている。チューダーは2022年から自身のプロサイクリングチームを運営しており(ファビアン・カンチェラーラ氏を直接サポートしている)、主要なイベントに参加するのは時間の問題であった。そして時計がその一部となることは当然だろう。私が興味深いと思うのは、かつてチューダーが提供していた最も実用的でプロ仕様のダイバーズウォッチであったペラゴスが、アリンギ・レッドブル・レーシングのような海上であれ、あるいはジロ・デ・イタリアのように陸上であれ、ブランドのスポーツ活動の延長として二次的な役割を果たすようになったことだ。

とはいえ、ザ・キャッシュアップ レッドブルチームのためにつくられたFXD クロノグラフが現在発売されていないことを除けば、予想外ではあるがFXD クロノグラフはセーリングとサイクリングの両方のプログラムのためのいいベースだと思う。この時計は、技術的かつ軽量でありながら、ブラックベイでは再現できないモダンさを提供しているが、チューダーの伝統を否定するほどではない。この動きに異論はないが、少し時間を巻き戻すと(アリンギ・レッドブル向けのFXD クロノグラフが発表されたのは2023年6月の終わりだったから、まだ1年も経っていない)、チューダーが“究極のモダンミリタリーダイバーズウォッチ”とうたうペラゴスのクロノグラフバージョンが、防水性を半分に落とし、ベゼルを完全に非ダイビング仕様にして登場するとは、予想だにしていなかった。

この時計に焦点を当て直すと、昨日チューダーがマイアミグランプリのためにInstagramで予告した時計とは対照的に、これは実際に購入できる時計である。純粋な商業製品として、ペラゴス FXD クロノ“サイクリング”エディションは水周りでの使用を想定していない時計のなかペラゴスの範囲をさらに広げており、それはペラゴスの純粋主義者たち(自分を含む)を動揺させるだろう。

とはいえ、アリンギ・レッドブル・クロノのデザインとは異なり、直接的な自転車競技やジロ・デ・イタリアのブランディングはないので、伝統的なペラゴスの枠を超えて、チューダーの現代的なラインナップ(ヘリテージクロノもファストライダーもない)の範囲内に留まる場合、ブラックベイ クロノグラフではなくFXDを選ぶ決断は理にかなっていると思う。FXD クロノグラフはすでに外部のレーシングプログラムとリンクしており、カーボンケースの軽量性はプロサイクリングの要求(および材料科学)とうまく調和している。

おそらく、ペラゴスはチューダーのラインナップのなかでもニッチな存在であり、そのなかでもFXDはさらにニッチで、クロノはさらに限られた存在である。そのレベルだとペリー(ペラゴス)純粋主義者はダイビング用ではないペラゴスの動機に疑問を持つかもしれないが、このサイクリングに特化したモデルは、ぺラゴスへの強いこだわりを生かしつつ、ダイビングからブランドが真剣に取り組み続けているスポーツへとシフトさせた特別なモデルを形成するための正しい取り組みを行っている。

基本情報
ブランド: チューダー(Tudor)
モデル名: ペラゴス FXD クロノ“サイクリング”(Pelagos FXD Chrono "Cycling”)
型番: 25827KN

直径: 43mm
厚さ: 14.4mm
ラグからラグまで: 53mm
ケース素材: ブラックカーボンコンポジット
文字盤: ブラックとレッド
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: ブラックのファブリックストラップ、ピンバックル

ムーブメント情報
キャリバー: ブライトリングB01ベースのMT5813(COSC)
機能: 時・分・スモールセコンド、日付表示、クロノグラフ(45分積算計)
直径: 33.8mm
パワーリザーブ: 約70時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 47
クロノメーター: あり

価格 & 発売時期
価格: 74万300円(税込)

クレドールから、50周年記念 マスターピースコレクション 叡智Ⅱ 限定モデルが登場。

ブランド誕生から50周年を迎えたクレドールから新たな記念限定モデルが発表された。第1弾としてゴールドフェザーコレクションからゴールドフェザー U.T.D. 限定モデルが登場したが、第2弾はマスターピースコレクションから。それが50周年記念 マスターピースコレクション 叡智Ⅱ 限定モデルだ。

マスターピースコレクションはアートピースコレクションと並び、クレドールのなかでも最高級の品質とともに、日本の匠の技と美意識を凝縮させたトップエンドのコレクションだ。叡智シリーズは、クレドールが長年にわたり培ってきた高度な技能と先進の技術、IWCスーパーコピー代引き優良サイトそして日本人の感性に訴える繊細な美しさを融合させたモデルとして2008年に発売された。叡智Ⅱは、そんな叡智シリーズが備えていた繊細さをさらに極めて2014年に誕生した2代目モデル。長野県塩尻市にあるマイクロアーティスト工房(※)の卓越した技術者たちの手によって生み出され、繊細な美しさを突き詰めた 究極のシンプルさを体現するコレクションとして、クレドールの中核を成している。

※「信州 時の匠工房」を構成する主要工房のひとつとして、2000年に時計の技能を継承する目的でセイコーエプソン塩尻事業所内に設立された。現在、技能五輪金メダリストや、黄綬褒章受章者を含む現代の名工らが所属し、高い技術と技能を活かした複雑時計を手がけている。

ブランド誕生50周年を記念した本作は、江戸時代に将軍や朝廷への献上品や輸出品として盛んに作られていたという“瑠璃金彩”からインスピレーションを得たもので、これと調和する18Kイエローゴールドケースはシリーズ初採用となる。磁器はその特性から、見る角度や周りの明るさによって見え方が多彩に変化するが、そこに煌びやかな金色が加わることで、叡智Ⅱのラインナップのなかでも記念限定モデルにふさわしい、ひと際華やかなモデルとなった。

搭載されるCal.7R14は基本的に既存モデルと同じだ。受けの輪郭、ルビーやネジで埋められる穴周りの面取りは、どの角度から見ても美しく輝くように手作業で鏡のような曲面形状に仕上げられる。さらに香箱には長野県塩尻市の花である桔梗がデザインされ、シースルーバック仕様の裏蓋からはテンパー仕上げ(いわゆるブルースティール)による鮮やかな青をまとったパワーリザーブインジケーターの針やネジを見ることができる。

機能も同様、Cal.7R14には限られたエネルギーを有効に使い、パワーリザーブを延ばす独創的な機構であるトルクリターンシステムを採用しており、トルクが大きいフル巻き上げの状態から約35時間のあいだは、精度と運針に影響のない約30%のぜんまいトルクを活用し、ぜんまいが自ら巻き上げることでパワーリザーブが約25%向上し、約60時間のパワーリザーブを実現している。

限定ならではの分かりやすいポイントはケースバックのわずかな部分で、“Limited Edition”の文字とともに限定のシリアルナンバーが刻印される。

ファースト・インプレッション

叡智Ⅱについて簡単に振り返りたい。2014年に白磁ダイヤルとプラチナケースを合わせたGBLT999が登場。叡智シリーズ誕生から10周年を迎えた2018年には、18KピンクゴールドモデルのGBLT998が仲間入りした。そしてセイコー創業140周年を迎えた2021年に加わったのが、独自に調合した釉薬によって生まれる深みのある瑠璃青ダイヤルをプラチナケースに収めたGBLT997だ。本作は、それらに続く叡智Ⅱの限定モデルである。

一見しただけでは瑠璃青ダイヤルのケースバリエーションのようにも思えるが、そんな単純なものではないようだ。プレスリリースによれば、瑠璃色のダイヤルには、新たな技法によってブランドを象徴するクレストマークやクレドールロゴ、インデックスが金彩で施されているという。金彩部分は立体的に美しく見えるよう、熟練の技を持つ職人がひとつひとつ筆で、ロゴやインデックスが盛り上がるように下地を描き、それを焼成したのち、その精緻な下地を金で覆うという手の込んだ仕様。熱に敏感な金の扱いは非常に難しく、叡智Ⅱにふさわしい輝きと視認性を両立するのは至難の技だったという。残念ながら、既存モデルのインデックスなどと比べて金彩部分の仕上がりにどれほどの違いがあるのかは、広報画像だけでは分からなかった。

本作の限定数はわずか30本。100本限定だった50周年記念 ゴールドフェザー U.T.D. 限定モデルも、あっという間に予定販売数の上限に達してしまったことを考えると、本作の金彩部分の仕上がりを目の当たりにすることができるのは、わずかな幸運を掴むことができる限られた人たちとなりそうだ。

なお、5月31日(金)に実施予定の特別イベント「HODINKEE.jp × CREDOR 50周年記念エクスクルーシブナイト in 表参道」では、この貴重な50周年記念限定モデルも会場で展示される予定だ。応募締切は2024年5月6日(月)23:59までの着信有効と、締切まであとわずかな時間しかないが、本作をその目で見てみたいという方は、ぜひ本イベントに応募して欲しい。応募者全員が参加できるイベントではないが、時計を購入する以外に本作を目にすること可能なまたとない機会となる。

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基本情報
ブランド: クレドール(Credor)
モデル名: 50周年記念 マスターピースコレクション 叡智Ⅱ 限定モデル
型番: GBLT996

直径: 39mm
厚さ: 10.3mm
ケース素材: 18Kイエローゴールド
文字盤色: 瑠璃色の磁器製
インデックス: 金彩を施したバー
夜光: なし
防水性能: 日常生活用防水
ストラップ/ブレスレット: クロコダイルレザーストラップ、3つ折れ方式中留バックル(18KYG)

ムーブメント情報
キャリバー: 7R14
機能: 時・分表示、センターセコンド、パワーリザーブインジケーター(シースルーバック側)
直径: 32mm
厚さ: 3.5mm
パワーリザーブ: 約60時間
巻き上げ方式: 手巻きスプリングドライブ
振動数: 3万2768Hz(ヘルツ)
石数: 41
追加情報: 平均月差±15秒(日差±1秒相当)

価格 & 発売時期
価格: 660万円(税込)
発売時期: 2024年6月8日(土)
限定: 世界限定30本