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ミン史上最も小型のモデルが登場。ヴィンテージのフレデリック・ピゲ製Cal.21を搭載し

限りある資源を使うのであれば、それはおもしろいものでなければならない。ミンが新たに挑んだプロジェクト21は、まさにその課題に応えるものだ。このモデルは現在では生産が終了したものの、長らく活躍してきたフレデリック・ピゲ製、20mm×1.75mmのCal.21を搭載する、同ブランド独自のエクストラフラットドレスウォッチである。

その結果として生まれたのが、タンタル製ケースを採用した35mm×6.9mmのタイムピースだ。本作はふたつのバリエーションが用意され、ブルーまたはコッパー(サーモン)のダイヤルを備える。なおブルーのスースクリプションダイヤルはすでに完売しており(詳細は後述)、本日よりコッパーダイヤルの予約が開始された。なお購入には30%のデポジットが必要となる。

プロジェクト21は、スーパーコピー時計代引き激安創業者であるミン・テイン(Ming Thein)氏に向けた“おまかせ”のチャレンジとして始まった。シンガポールでコレクターたちと食事をしている際に、“制約なしに、ただし実現可能な範囲で自分だけのためにデザインするとしたら何を作るのか?”という問いを投げかけられたのだ。そして“このディナーに集まったコレクターのための限定モデルをつくるつもりはあるか?”という話に発展した。

「クールではあるが、商業的には成り立たないデザインというものがある。大抵の場合それらはあまりにもニッチすぎたり、クセが強すぎたりするものだ。しかし、個人的には非常に魅力を感じる」と彼は語る。こうして、彼はアイコニックなウルトラシンムーブメントを再構築するという目標を掲げた。

この時計のベースとなったのはフレデリック・ピゲのCal.21だ。1925年に発表され、1992年にスウォッチグループがF.ピゲを買収するまで生産が続いた、歴史上最も薄いムーブメントのひとつであり、かつ最も長く製造されたムーブメントのひとつでもある。もとが小型であるためミンはケースをわずかにサイズアップして直径35mmとした。これにより、過去のエクストラシンモデル(27.01や27.02など)と同じ厚みに抑えつつ、50mの防水性能を確保している。ケースと仕上げの細部に関しては、時計師でありオルタナティブ・オロロジカル・アライアンスの共同創設者(ミンとフレミングもこの団体の一員)であるジョシュ・シャピロ(Josh Shapiro)氏と彼のチームが担当した。

ミンはTitAl SAおよびMathis Horlogerieと提携し、約50年前に設計されたF.ピゲ製キャリバー21を改良・再設計した。新たにブリッジを追加し、そのうちのひとつにはチタン製のものを採用。ダイヤルの色とマッチするよう仕上げられたこのブリッジはスケルトナイズされており、輪列の動きを視認できるようになっている。またルビーはシャトンにセットされ、クラシックな美観が加えられた。

本作はエクストラフラットながら、2層構造のダイヤルを備えている。一番上の層には、FEMTOprintによって加工されたホウケイ酸ガラスを溶融した層の内側に、多層のパターンをあしらっている。その下にはCVDコーティングされた厚さ400ミクロンの真鍮製プレートが配置され、上部のパターンと共鳴するようなデザインが施されている。針にはポリッシュ仕上げとファセット加工が施され、インデックスはクリスタルにエッチングされている。さらに本作は、ミンの時計としては珍しく夜光塗料を一切使用していない。

再設計されスケルトナイズされた、ヴィンテージのフレデリック・ピゲ製Cal.21。

ミンはスースクリプション“おまかせ”モデルとして、ブルーダイヤルの10本限定モデルを製作したが、新たにプロジェクト21の限定15本モデルを発表した。価格は3万2500スイスフラン(日本円で約550万円)で、購入には30%のデポジットが必要となる。時計にはジャン・ルソー製ストラップが1本付属し、さらにもう1本のストラップが選択可能。加えてAHA(オルタナティブ・オロロジカル・アライアンス)のためにJ.N.シャピロが手がけたタンタル製ブレスレットも用意されており、これは追加費用を払うと購入できる。

我々の考え
ミンがヴィンテージムーブメントを用いたのは、今回が初めてではない。同ブランドが過去に手がけた19.CR モノプッシャーは、個人的に最も印象的なモデルのひとつだ。それにはヴィンテージのビーナス140が搭載され、12時位置にインダイヤルを配した独特のディスプレイを持つ。また同ブランドはNOS(新古品)のモノプッシャー仕様ラ・ジュー・ペレ 5000ムーブメントも活用しており、こうした取り組みはミンらしい個性を表している。だからこそ、新たなプロジェクトの話を聞いたときは期待が高まった。実際、この時計は成功と課題の両面を持ち合わせているが、全体的には成功が上回っていると感じる。ミン・テイン氏自身も、こうしたプロジェクトが商業的なものではなく、純粋な情熱から生まれたものであることを率直に認めている。

この時計は、間違いなくつけ心地がいい。重厚なタンタル製ケースを採用することで、超薄型かつ小振りなケース特有の華奢な印象を打ち消してバランスを取っている。またシャピロ氏とそのチームによるケースの多彩な仕上げも見事だ。ただ個人的には、ブルーがかったダークタンタルの色調は、スースクリプションモデルのブルーダイヤルのほうがよりマッチしていたのではないかと思う。F.P.ジュルヌのクロノメーター・ブルーがアイコン的存在となったのも納得できる。

また、歴史的なフレデリック・ピゲ製ムーブメントを採用した点も魅力的だ。特に、スケルトナイズやチタン製ブリッジのダイヤルカラーへのマッチングなど、細部にわたる再設計によってその美しさが一層引き立っている。アングラージュやサブラージュの仕上げもいいアクセントになっている。ひと目見ただけでは、オリジナルのF.P.21や、その派生モデルであるブランパン、IWC、ロレックス、パテック(2回)、ロンジン、カルティエ、サーチナ、オメガ、ゼニス、ブエッシュ・ジローなどのムーブメントとは区別がつかないほどだ。同じ素材を使いながらも、これほど独自性を持たせた点は実に見事といえる。

私が感じた最大の問題点は、操作性と視認性の2点だ。まずリューズがかなり小さい。もしこれが大きければ時計の装着感に影響をおよぼす可能性があるが、それにしてもやや不自然なサイズであり、巻き上げや時刻調整がしにくいのが否めない。しかしこれにはもうひとつ実用上の理由がある。先週のインタビューでミン・テイン氏は、小型のリューズにすることでトルクを制限し、香箱の主ゼンマイを保護する設計になっていると説明してくれた。

ダイヤル上の目盛りが特定のミニッツマーカーとそろっておらず、やや混乱を招く点も気になった。

過去のミンウォッチに対しても視認性に関する指摘があったが、個人的にはそれらの多くが写真上の見え方と、実際に3D空間で見たときの違いに起因するものだと考えている。そのため、これまで実際に手に取って視認性に困ったことはなかった。しかし今回のプロジェクト21では、時折読み取りに苦労する場面があったのは事実だ。

影のなかでは針がはっきりと視認できるが、明るい光の下では見づらくなる。これは、おそらくダイヤル開口部が、一見するとミニッツマーカーのように見えるものの、実際には特定の間隔で揃っていないことに起因しているのだろう。そのため時刻を合わせる際に、針が正確にどの分を指しているのかわかりにくいことがあった。ダイヤルとクリスタル上のインデックスが微妙に食い違い、視認性に影響を与えているように感じる。ただそれを踏まえても、プロジェクト21はミンがブランドを進化させ続けていることを示す一例であり、そのスピードはほかのブランドにはなかなか真似できないものだと感じる。

基本情報
ブランド: ミン(Ming)
モデル名: プロジェクト21(Project 21)

直径: 35mm
厚さ: 6.9mm
ケース素材: タンタル
文字盤: 5Nローズゴールド製サーモンカラー
インデックス: FEMTOprintによるフューズド・ホウケイ酸ガラスの開口部をCVDコーティング真鍮プレート上に配置
夜光: なし
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ジャン・ルソー・パリ製カーフレザーストラップ(“フライングブレード”チタン製タックバックル付き)、選択可能な2本目のストラップ、オプションでJ.N.シャピロ製AHAタンタルブレスレット

Ming Project 21
ムーブメント情報
キャリバー: ヴィンテージのフレデリック・ピゲCal.21
機能: 時・分表示
直径: 20mm
厚さ: 1.75mm
パワーリザーブ: 約38時間
巻き上げ方式: 手巻き
石数: 18
クロノメーター: なし
追加情報: スケルトナイズされたチタン製輪列ブリッジ、サンドブラスト仕上げとポリッシュ仕上げのアングラージュ加工、Mathis HorlogerieおよびTitAl SAがミンのために改良・再設計

価格 & 発売時期
価格: 3万2500スイスフラン(日本円で約550万円)、購入時に30%のデポジットが必要で残額は納品前に支払い
発売時期: 発売中
限定: あり、世界限定15本