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仕事の流儀。(メルマガ第952回より)

お疲れ様です。

今日の思い。

「仕事の流儀」です。

昨日、偶然にNHKの「仕事の流儀」と言う再放送の
番組を観ました。

ミシュランの三ツ星にも選ばれた「すきやばし次郎」こと
鮨職人「小野次郎」氏の番組でした。

番組は2008年で、その当時の年齢が82歳なので、
今年は84歳になります。(現役です)

氏は、7歳の時に料亭に丁稚に出されました。
その時の様子をこのようにおっしゃっています。
「母親と親戚が言い争いをしていて、ついには母親が
”もうやっていけない”」と。

その後、7歳で丁稚に出て小学校に通いながら
朝から晩まで働きました。今と違い「嫌なら帰っておいで」は
通用しません。

生来不器用だったため、仕事を覚えるのも遅く、いつも怒鳴られ
ゲンコツをもらったりもしました。小学校では居眠りばかり。そんな、
氏を支えたのは、

「自分には帰る所がない。」と言う思いでした。

どんなに辛くても、家族が居ても、帰るところがない。
もの凄い環境です。もし、自分ならどうなんだろう?

しかも、小学生で。

氏は、仕事についてこうも語っています。
「お客さんの前に立つ段階で9割が決まっている。」と。
そして「無駄が極上を生む」とも。

氏は、それを「手当て」と言っておられます。
例えば、氏が使う魚は最高級の天然者です。
しかし、新鮮だからと言って「鮨ネタとしておいしいとは限らない」と。

味を決めるのは「手当て」と呼ばれる”職人技”です。
「魚の種類や状態によって、いったん寝かせたり、〆方の加減をしたり、
見た目は同じ魚でも、そのように一旦寝かせたり、〆方をして
魚のうまみを最大限に引き出す。」と。

しかし、そのように「手当て」をした魚が全てお客さんに出されるとは
限りません。1本4000円もする「さば」でも、氏が味を見て納得
いくものしか出しません。

そうして、納得の「手当て」をしたネタがお客さんに出され、あとは
賄(まかな)いになります。こうした「無駄」が、うまい鮨を握る為に
欠かせないといいます。

氏の店は「20カンの”おまかせ”コース仕立て」になっています。
これは氏が半世紀近く鮨を握ってきて、たどり着いた”究極の20カン”
と、おっしゃっています。

ネタを握る順番、ネタの温度、向きと言った、その20カンの中に
氏の職人としての”究極の世界”があるのです。

そして、「目で仕事をする」と。
お客さんの鮨を食べるタイミングを逃さずに、一番おいしく食べてもらうように
常に「目でお客さんの表情や食べる加減を見ている。」と。

そして、こうも言います。
「料理するときに一番大事なことは何ですか?」という問いかけに、
半世紀をかけて鮨を追求してきた氏は「一所懸命やること」と
言い切りました。

そして、こうも
「自分に出会った、目の前にある仕事を”誠心誠意”やっていくこと、
自分にあった仕事ばかりを求めてばかりではいけない。」とも。

1尺5寸の勝負と言う事で、氏が終生のライバルという「フレンチの帝王」
とも呼ばれる、フランスの三ツ星シェフの「ジョエル・ロブション」が店を
訪れました。(1尺5寸とは、店側とお客側のカウンターの幅です)

氏は、彼は「もっとも舌が敏感だ」と言います。「勝負をするには申し分ない。」
とも。フレンチと鮨を極めた男同士の静かな闘いです。

20カンを食べ終えた”ロブション”は全て食べ終えて、大きくうなずき
「OK!」のサインを出しました。

”ロブション”は言います。
「日本へ来て一番幸せになれるのは”ここ”」だと。

本日は久しぶりに長かったのですが、本当の「プロフェッショナル」の
仕事や生き方を見て、感動したので書いてみました。

「引退をするのなら、あれ?今日はおやじ見てないな?と、自然にいなくなるのがいい。
だから、はい!今日で引退。と言うのはしたくないね。
まぁ、でも急に亡くなっちゃうかもしれないけどね。」と、語った笑顔が良かった。

編集後記

自分の仕事に没頭して、さらに上を目指す。今で止るんじゃなくて、
もっと上を目指すということじゃないかなと思います。

すきばやし次郎こと「小野次郎」 84歳